『デジタル社会起業家の可能性―Digital Social Innovation and Civic Tech―』

I wrote a reporting article about digital social entrepreneurs which the lecture was given by Tuukka Toivonen, assistant professor of SOAS at Japan Europe Entrepreneur Forum. (It is only available in Japanese).

2015年5月に開かれた日欧起業家フォーラム(JEEF)の定例会で、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のトゥーッカ・トイボネン経営学准教授が 『デジタル社会起業家の可能性―Digital Social Innovation and Civic Tech―』と題し、現在進行形で拡大する“デジタル起業”の分野とその可能性を紹介しました。 以下にリポート記事を掲載します。

 

 

「ホテルを持たない“ホテル会社”、タクシーを持たない“タクシー会社”が市場をリードする。そんな面白い時代になってきた――」

そう言って新たな見方を提示するのは、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のトゥーッカ・トイボネン経営学准教授。先に開かれた日欧起業家フォーラム(JEEF)の定例会では『デジタル社会起業家の可能性―Digital Social Innovation and Civic Tech―』と題し、現在進行形で拡大する“デジタル起業”の分野とその可能性を紹介した。

米ソーシャルメディアのフェイスブックやオンライン販売サイトのアマゾン、検索エンジンのグーグル、iPhoneの生みの親アップルなど、世界的大企業に成長したこれらのデジタル4社は通称“GAFA”と呼ばれている。新たな波として、運転手付きの車を配車する「Uber」、手伝いを必要としている人と時間的余裕のある人をつなぐ「Task Rabbit」など、これまで事業を起こす上で不可欠だった資本を持たない新しい形の会社が登場し始めた。社会に既に存在する資源を有効利用するSharing Economyの一環で、既存企業に挑戦、もしくは対抗している点が特徴という。

最近ではキック・スターターなど資金集めの企業まで台頭し、デジタルを活用した革新的な起業に向けた環境が充実している。そんな中でトイボネン氏が特に焦点を当てるのが、事業意義(ミッション)を重視したデジタル社会起業家だ。共通の定義はないというが、大まかな要素に以下の3つを挙げている。

・Sociality(社会的ミッション、公益への意識)

・Innovation(革新性)

・market orientation(市場の利用、ビジネス性)

革新的なアイデアの実現を支援する英国の団体Nestaによると、欧州には現在1,000件ほどのスタートアップが存在し、特にロンドンでの起業が盛んという。特筆すべき事例に、1)TheGoodData 2)Escape The City 3)FixMyStreet 4)Netivist 5)GovFaces の5つがある。

 

1)TheGoodData

ネット利用者の情報が知らないうちに利用・転用される今の時代。それを逆手に取り、クッキーなどのウェブ追跡機能をブロックするサービスを提供するのがTheGoodDataだ。同社は代わりに利用者の了承を得た情報を取得・転売することで収入を得るほか、収益の一部を発展途上国の支援に充てる。個人情報の主導権を握れる上、自らの情報で社会貢献ができるというのが売り文句だ。

 

2)Escape The City

ロンドンの金融街シティで働く銀行マンなどをターゲット層にした、働き詰めの暮らしから逃れたい人のための転職サービスサイトが、このEscape The City。これまでとは全く異なる仕事がしたい人と、ボランティアや社会変革を目的に活動する企業や団体を結び付けるほか、起業を目指す人向けのレクチャーイベントを企画・開催している。

 

3)FixMyStreet

FixMyStreetは近所で見つけた危険な箇所や不審な車など、これまで警察や行政に連絡していた事柄を簡単に報告できるよう作られたアプリだ。問題を発見した場所の郵便番号を打ち込み、詳細を書き込めばサイトが代わりに関係各所に連絡してくれる。手軽に情報を発信できる上、他から入った情報も閲覧できる。

 

4)Netivist 

民主主義や社会についての議論の質を深めたいという思いから生まれたNetivistは、「たとえ野外でも公共の場での喫煙は禁止すべきか」「同性婚は合法化すべきか」など、現代社会を反映する議題を多数そろえる。利用者は自らの意見を投票形式で表すほか、直接コメントを書き込んで議論に参加できる。

 

5)GovFaces

GovFacesは政治と市民をつなぐ目的の下に創設されたプラットフォーム。参加者は特定の政治家に対する質問を書き込み、それについて他の参加者が示した支持率がランキングで表示される。政治家は上位の質問に回答することで民意を知ることができるほか、一度に多数に語りかけられるという。ただ、当の政治家からは利用を敬遠する声も聞かれ、利便性拡大や利用促進に向けた改定を同時に進めている。

 

トイボネン氏は「デジタル起業家の特長は、現在進行形で事業を柔軟に変化させられるところにある」と話す。一方で、信頼性や個人情報保護、資金源などの課題に加え、新たな事業が社会に与える効果や影響を考慮しなければならないと指摘する。「Digital Disruption」という言葉が示すように、既存のシステムを壊してしまう可能性があるからだ。ただ定例会参加者からは、ツールとしてのデジタルの存在が大きくなっただけで、起業の本質は昔から変わっていないとの指摘も出た。どんな起業も社会のニーズに沿えば拡大し、各地の規制やルールにそぐわなければ変更や撤退を強いられるのだろう。

 

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Polis blog post (translated ver.)

Polis blog post (translated ver.)

An article below is the Japanese translation of Polis blog about 3.11, which I wrote like half month ago.

Sorry for being such a slow writer.

以前掲載した、3.11に関するPolisのブログ記事を日本語訳しましたのでご査証ください。

更新が遅くてすみません。


「それは日本の出来事で、私は見物者でしかなかった」東日本大震災発生から3年の回顧録

ロンドン市内の小さな教会で2014年3月、“3.11”―東日本大震災の追悼式典が行われた。春の暖かな日差しが差し込む中、参加者は当時の光景を思い出し、死者や生存者に祈りを捧げ、被災した東北地方の方々への思いを込めてチャリティソング「花は咲く」を歌っていた。

3年という月日は、私たちに何かしら達成させてくれる半面、3.11の悲惨な光景や思い出を霞ませてしまう。国際メディアは今や、主に福島第一原発事故後の状況や関連デモにばかり焦点を当てている。放射能の「見えない恐怖」はメディアによって拡大され、ネット上に広がるニュースサイトやブログの一部では、千葉の石油コンビナート炎上事故の写真があたかも福島第一原発事故の写真として誤掲載されているほどだ。

その一方で、日の目こそ見ないが、人々を元気づける震災関連ニュースもある。一般財団法人国際開発センターの調査によると、被災後1年間で計174か国から物資的、資金的、人材的援助が届けられ、うち119か国は日本のODA受給国、35か国は後発発展途上国からであった。

心温まるストーリー

外務省のある報告は、震災後に被災地で素晴らしい活躍をしてくれた南アフリカやインド、トルコ、イスラエルを含む国際救急チームへの賛辞を掲載。発展途上国の人々が被災地に赴き、地元の人々に支援物資や食料を配ってくれた、というような心温まるエピソードは、数え上げればきりがないほど。世界第3位の経済大国、日本はいわゆる「第三世界」からの援助を受けるべきではないという意見もあるだろう。だが、天災が発生し、人々がそれぞれの手段で思いやりを示してくれている時に、そのような比較論を押し付けるのはおかしいと私は言いたい。

私の出身地は震災の被害を受けなかったが、私はまだ地震発生の日を覚えている。

人や家、車、船、木その他全てが津波によって海に飲み込まれる様子。テレビで放送されるそれは、現実というより映画の光景に近かった。

苦しみの見物者

それは日本で起こっていて、私は見物者でしかなかった。ニュースを探して被災地の状況を把握しながら、奇妙なことに、平和な「私たち」と悲惨な「彼ら」との距離をも感じていた。あの日から私の勤める地元紙は、募金活動をして被災地を訪れる県内NGOやボランティア、富山で新たな生活を始める福島からの避難者、被ばくを恐れて外で自由に遊べない福島の子供たちのためにツアー計画を立てる地元団体などの様子が面を飾るようになった。

昨年3月に被災地のひとつ、宮城県石巻市を訪ねた時は、「2年後」であるはずの現状が心を揺さぶった。3.11後の被災地のニュースは特定地域を選んで取材するものが多く、全ての地域に光が当たるわけではない。石巻の2年目の復興は思った以上に遅れていた。

石巻へ続くローカル線は未だ一部修復作業中で、代替バスが乗客を目的地へと導く。以前の住宅地はまだ、崩壊した家やガレキ、木々などが広がる空虚なエリアでしかない。数々の校舎がひどく損傷しており、二度と使われることはないだろう。ある学校は「感謝」、「いまから、ここから」という垂れ幕を下げることで被災者の思いを代弁していた。

散乱したガレキの中、海水と腐敗した魚の強烈な臭いに囲まれながら私は足を進めた。そして、この不気味な雰囲気を心の中で拒否している自分に気づいた。帰り道に乗ったタクシーの運転手が教えてくれた。「被災した海岸付近は今、住むことが禁止されていて、丘の上に新たな住宅地を建設している。いつ移り住めるかはまだわからないけれど」。

失った生活

この3年で、被災地支援は緊急時対応から心のケアへと移り変わった。3.11後に設置された各地域の臨時災害放送局は閉鎖し始め、持続を希望する局は財政難に陥っている。3.11関連のビジネスや旅行が地元経済の復興を支え、旅行パンフレットには「復興屋台村を訪ねよう」「タクシー運転手が語り部となり、被災地を巡ります」「被災地での週末ボランティア」などの文字が並ぶ。福島の立ち入り制限・禁止区域ですらも制限の度合いを緩め始め、除染作業も少しずつではあるが進んでいる。地元の人たちは失われた生活を取り戻そうと努力を惜しまない。

だが、復興状況を語る日本の政治家たちの言葉に信憑性はあるだろうか?安倍晋三首相は国際オリンピック委員会の総会で、2020年のオリンピック誘致に向けて日本は安全であるという印象を残すため、「(福島第一原発について)状況はコントロールされている」という発言を残した。この発言に続いて「特定秘密保護法」が制定されており、フリーランスや外国人のジャーナリストたちにとっては(記者クラブの存在等によって)福島第一原発関連の情報収集に制限がある。結果的に、2014年の世界報道自由度ランキングは日本を59位に据えた。以前はトップ20以内に位置した国であったのに。

震災生存者たちの間では今、オリンピック開催に向けたインフラ整備が主要課題になることで、被災地への支援が減ってしまうのではないかという懸念が広がっている。国内での見方は分かれており、オリンピック開催は復興を促すという意見の一方、政府の関心が東京に集中することで被災地と避難者への配慮が減ってしまうという意見もある。

私にできることはこのブログを書き、現地の人たちを思い、そして石巻の街に立ち込めていたあの強い海水の臭いを思い出すことくらいだ。

今でも訴えてくる。「忘れるな」と。

POLIS blog posts 「POLIS」への投稿

POLIS blog posts 「POLIS」への投稿

I have contributed two blog articles for LSE think tank [Polis] organized by director Charlie Beckett and interns from the media and communication department.

One is the review and comment of public lecture done by Brandon Paddy, head communications at the Disaster Emergency Committee (DEC).  You can read it from here.

The other one is the memorial article in regard to the three-year anniversary of 3.11: the Great East Japan earthquake. you can read it from here.

メディア・コミュニケーション学部内のシンクタンク「Polis」に2件のブログ記事を寄稿しました。Polisは学部長であるCharlie Beckettと学生らによって運営されています。

1つはDisaster Emergency Committee (災害緊急機構と言えばよいのか…)のコミュニケーション長であるブランドン・パディー氏による講演。

もう1つは東日本大震災から3年の節目に際して、私の経験や国内外の報道内容などを交えた文章となっています。いずれも、英文の「here」にリンクを張り付けました。